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『はまっ子ふれあいスクール』チーフパートナーとして

匿名(50代)

 主婦とは、ある意味融通の利く職業である。もちろん、その義務と責任は負うけれども、ある程度の生活が保障された中で、長い目で自分に何ができるかを試すことができるからである。マスコミで、同年代の女性が活躍しているのを目にすると、世の中にはすごい女性がたくさんいるものだと感心するけれど、誰にでも実現可能な、普通の主婦の小さなセカンドチャンスもある。主婦になって25年目の私が、現在の仕事にたどりまでの着く経過を説明したい。
 大学卒業後メーカーで2年半働いた後、25歳で結婚、27歳長女、30歳で長男を出産した。初めての子育ては必死だったが、二人目は多少の余裕が出てくるとともに、自分が社会から取り残されていくような焦りを感じ始めた。「何か社会との接点を持ちたい」と思ったときに、何ができるか考えた結果たどり着いたのが、“子どもがいてもできるボランティア”だった。ちょうどその頃住んでいた団地のすぐ近くの児童館『紙芝居の読み方講座』が開かれた。すぐに参加を決め、1歳の長男を連れて、講座に通った。その後紙芝居講座の事後グループができ、練習をしながら週に1回、児童館に遊びに来ていた子どもたちに紙芝居を読むボランティアをするようになった。これが、私のボランティアの出発点である。
 その2年後に、港北ニュー夕ウンに転居。3歳の長男を3年保育に入れなかったので、同じマンションの同年代の子ども・お母さんたちと自主保育グループを作り1年間活動した。この時にも、紙芝居を読んでいた経験が役に立った。その後『おはなし広場』というグループを作り、当時開館2年目だった近くの地区センターで月1回未就園児向けのお話会を始めた。同時期に、自閉症児の訓練会や、区の保育ボランティアグループの立ち上げにも関わった。すべて、子どもと接するボランティアという点でつながっていったのである。
 下の子が小学校に入学してからは、読み聞かせ・訓練会・保育のボランティアをやりながら、図書館のアルバイトや塾の講師という仕事も始めた。毎日2~3つの予定があり、フルタイムで働いている友人に「すごいね、その手帳!」とびっくりされた事を思い出す。そういう毎日を送りながらも、「いつかは、これらのボランティア経験を卜―タルで生かす仕事がしたい」と心の隅で思っていた。
 3年前、横浜市の放課後児童育成課から「はまっ子のチーフをやらないか」との声がかかったとき(なり手がいなくて、ボランティア名薄の代表者に順に電話をしていたらしい)この仕事なら今までのボランティア経験が生かせると思い引き受けた。もちろん、責任者としてやっていけるのかという不安はあったが、思い切ってその壁を乗り越えてよかったと思っている。
 現在は、はまっ子のチーフとして、放課後小学校で子どもたちを預かっている。子どもに関わるボランティア経験だけでなく、グループの代表として、例えば、名簿を作ったり、毎月お知らせや定例会報告の通信を出したり、代表者会議に出たりと、事務的な作業を行ってきたことも今の仕事に役立っている。
何かを始めるのに、「遅い」ということはないと思う。しかし、社会に出るまでのブランクが長いとそれだけ多くのエネルギーが必要だ。私が今の職にたどり着くことができたのは、できることから少しずつ無理なく活動の幅を広げていったからだろう。主婦の場合、「自分には向いていない」と思ったら、軌道修正をすることが可能だ。だから、常にいろいろなところにアンテナをはって、興味があるものにはチャレンジしてみた。直接仕事に結びついていないものもあるが、その経験は自分の肥やしになっている。
 また、今の仕事は、主婦として子育てをしたからこそ、その経験を生かすことができていると思う。“はまっ子”に子どもを預けて、仕事をしたり、学校に通ったりしているお母さんたちを見ると、昔の自分に重ね合わせて応援したくなる。
“はまっ子ふれあいスクール・チーフパートナー”という仕事は、世間一般から見ればスポットライ卜を浴びるような仕事ではない。しかし、私にとっては、今の仕事は大きな“セカンドチャンス”となった。結婚後家庭に入り一度は仕事を中断したとしても、前の仕事にとらわれることなく、主婦としての経験を生かして、多くの女性が小さくてもいいから、自分なりのセカンドチャンスをつかむことができたらいいと思う。自分ができることに一生懸命に取り組んでいれば、認めてくれる人はどこかにいるはずと信じて、次のステップに向けて子どもたちと接する毎日である。
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