私が選んだ生き方~「子育ても仕事も半分ずつ」の心地よさ
匿名(30代)
・無我夢中の20代、気づけば30歳
私は普通に大学に行き、普通に就職をした女性の1人です。今の学生の方はどうかわかりませんが私は大学に入学した理由も企業に就職した動機もいまひとつはっきりした理由はなかった気がします。
就職先は保険会社のセールス職。接客は好きだけれどモノを売って営業成績がみんなに知れ渡るようなものはまったくイメージしていませんでした。ましてや保険というのは目に見えないもの。とても難しい思いがしました。それでも営業一筋の父親に「3年はがんばれ」と時々励まされながらがんばって続けていました。そのうち仕事は面白くなってきて、いろいろな方とお会いできる面白さも感じてきました。実は結婚したのは早かったのですが仕事が楽しくて、自分の将来の生き方のようなものはまったく描いていませんでした。ほとんど毎日21時まで働いてその後ご飯を食べたりお酒を飲みに行ったり…。
でもあるときふと気づいてしまったのです。「あ、もうすぐ30歳になる」と。そんな気持ちの変化とともに、保険業界もピックバンのあおりで多くの会社が経営破たんし、再編の嵐が到来しました。その中で現場にいて気づいたこと、それは「このままじゃいけない。もっと広い知識をもって、多くの方の役に立ちたい」というものでした。
・資格をとっていざ退職
私の職業はファイナンシャル・プランナーです。今では有名ですが、私が受けようとしたときはまだまだ未開の職業のイメージでした。それでも資格を取ることでなにか新しい自分になれると思いたかった私は仕事の合間に勉強しファイナンシャル・プランナーの資格を取りました。資格を取れば仕事になるという考えはまだなかったのですが、これを機に今の会社を退職してしまいました。いやいやながらはじめた仕事でしたが結局9年も働いていました。
今思えば人と人のつながりや形にならないものを説明してPRするというスキルが身につきよい経験だったと思います。今でも働く上で社会人経験はある程度必要だと個人的には思っています。また、保険会社での経験も今の仕事に生かせる部分が多く、良いところに就職したなと感謝しています。
・くじけそうなときに必要な自分を支える何か
退職するといろいろなことを考える時間ができます。ファイナンシャル・プランナーで仕事をしていくぞ!と思ったのと同時にそろそろ子どもも欲しいよなと漠然と思っていましたが、幸いなことに子宝にも恵まれました。おなかは大きいのに「役に立てる仕事をするぞ、がんばるぞ。早く働かなくちゃ」と気持ちはあせっていたため、思い出せば一番くじけそうな時期でした。普通にお母さんになるという選択もありました。でも多くの方に「あなたに会えてよかったわ!」と言われることを夢見て「役に立てる職業だぞ、がんばるぞ」という自負心が私を支え、特に理由もないのに気持ちだけは前向きでいることが出来ました。
・子どもとともに育む働き方
あれから5年以上経ちます。今はもう子どもも5歳です。それまではただ「多くの人に感謝されるような仕事をしよう」と気持ちばかりあせっていました。
今も仕事の目標は変わりませんが、以前ほどの焦燥感はなくなった気がします。肩の力をぬいて子育てしながら自分の仕事を大事に大事に作り上げています。私の夢はまだまだ尽きなく、やりたいことも山ほどあります。でもまだ子どもも小さいし、子育てもストレスがかからない程度に満喫したいので、仕事分量は1日の中でも3分の1くらいに維持しながら将来やりたいことのための準備はしていきたいと思っています。
働き方もいろいろです。会社員であると収入の安定は図れるかもしれませんが、自分の時間を大切にした働き方を取り入れた生き方もなかなかよいものです。
・まずは動いてみること
私の場合は時代の流れを感じられる業界にいたため、肌で感じるきっかけがあったような気がしますが、資格を取ったからといってすぐに仕事に結びつくというものではありません。仕事になるまでには会社に勤めていた頃の貯金も相当取り崩して「自己投資」の日々だったと思いますし、今もそれは変わりません。また、外に出かけることでさまざまな人と出会うきっかけもあり、その方々とのご縁は今も続いています。ただその場で待っていた訳ではなく、自分が行動しなければ何も起こらなかったものだと思います。楽しかったことと失敗したなと思うことは、どちらかというと失敗のほうが多かったかもしれません。でも楽しかったことにめぐり合えたことでそれまでの失敗は不思議なことにすーっと消えていくのです。失敗したことや悔しかったことも自分自身の組織の一部になっているように思えます。行動することで自分の未来が変わることを感じました。
・チャンスは誰にでもある
どういうことがチャンスというのか?人によって受け取り方はいろいろあると思います。「収入アップでお金持ちになる」「あることをきっかけに有名な人になる」などのような大きなチャンスもあれば「自分らしい生き方を見つけること」「仲間と楽しく過ごすこと」「家族がもっと幸せな暮らしができるようになること」という、目にはみえないけれど自分の手が届きそうな夢の実現もあるでしょう。「チャンスの前髪をつかめ!」とよく言いますが、チャンスはどこにでも転がっていると私は思います。
大事なのはそのチャンスが来たときに自分が出来る範囲の「得意分野」を作っておいたり、行動する「元気な体」を維持しておくことだと思います。そして「失敗してもまたチャンスが来るさ」と次のチャンスが来るまでの時間を有効に使う気持ちの前向きさ、これが常にチャンスをつかむために大事なことだと私は思います。